本拠点のミッションは、「地球システム変動に対する海洋生態系の応答・適応メカニズムとは何か?」という第⼀義的な問いを解き明かすことです。特に、我が国が位置する北西太平洋を重点海域に定め、海洋物理学、生態学、数理・データ科学を融合したアプローチにより、海洋生態系の維持に重要な連動性・安定性・適応性の理解を深化させ、人間社会に役立つ海洋生態系の変動予測の実現を目指します。海洋生態系が広範囲で急激に構造転換する「レジームシフト」に着目しつつ、地球物理観測、環境DNA分析、室内実験等を実施していきます。それらのデータ・知見に基づき、AIや機械学習をフル活用し、海洋物理―生態系ビッグデータの統合解析を進め、北西太平洋から全球に適用可能な海洋生態系変動モデルを構築し、新しい学術領域として「海洋・生態系変動システマティクス(OECS)」を創成します。
本拠点では、東北大学の基礎学術の強みや高等教育機能と、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の海洋調査や計算機プラットフォームの機能を強固に連携させたインターラボラトリーシステムを構築し、海洋生態系の応答・適応メカニズムの解明およびその変動予測に係る最先端の分野融合研究を実施していきます。さらに、ハワイ大学をサテライト機関とするグローバルな連携・パートナーシップを構築し、国際的な高等教育を通じた世界で活躍する人材の育成と国際的な頭脳循環を促進します。また、本拠点の広報・アウトリーチ・DX機能を充実化し、⼀般社会に向けた継続的かつ効果的な情報発信を行うと共に、国連機関や政策決定者を含む国内外のステークホルダーと科学知を共創することで、海洋及び生態系の再生と回復に向けた「惑星スチュワードシップ」に貢献していきます。
研究所長須賀 利雄