活動報告
2025.11.7
海洋学会2025年度秋季大会(函館)において、9月25日(木)にWPI-AIMECユニットリーダー河宮 未知生 教授(JAMSTEC上席研究員)がコンビーナーを務めるシンポジウム「変化する気候下での海洋環境影響評価」(主催:同学会海洋環境問題研究会)が開催され、同じくWPI-AIMECユニットリーダーの近藤 倫生 教授(東北大学生命科学研究科)も講演者として参加しました。
地球規模気候変動とその沿岸への影響評価研究の現状を概観したうえで、環境データや将来予測データの内容や利用方法を紹介し、海洋関連諸分野において信頼に足る将来変化予測につなげることが目的です。
当日は、講演者を含む現地31名の参加ほか、オンラインで最大40名のアクセスがあり(ただし現地・オンラインで重複あり)、各講演の質疑応答では活発な議論が交わされました。プログラム最後の総合討論では、中野英之(気象研究所)氏が紹介した予測データセット(DS2022)の今後の発展についての要望が多く出ました。特に、漁業関係者や一般市民の多くが関心を持っているような距岸距離の近い沿岸域について、予測データセットの解像度、予測精度を上げていくことが望ましい、という方向性の意見が多くみられました。こうした取り組みは、伊藤氏の講演で指摘された漁業影響の精確な評価にもつながることが期待されます。
また、速水 祐一(佐賀大学)氏や近藤 倫生(東北大学)氏の講演では、沿岸域においては地球環境変動以外にも、さまざまな環境変動要因が存在していることが議論されました。総合討論では、講演で触れられなかった詳細について質問が寄せられ、改めて沿岸環境の複雑性についての認識が共有されました。この「さまざまな環境変動要因」を踏まえた将来予測の実現に向けて、今後どのようなアプローチが必要なのかが議論され、活発な意見交換が行われました。


「シンポジウム『変化する気候下での海洋環境影響評価』を開催」
https://wpi-aimec.jp/event/2715/