コラム

海の杜(No.4、2024年9月1日)

WPI-AIMECについて-その1 マルチホスト型最初のWPI

 今回から私たちのWPI-AIMECを紹介します。前回、これまで採択された18の拠点の名称と設置機関を記しましたが、私たちAIMECの設置機関は、東北大学と海洋研究開発機構の2つです。すなわち、AIMECは、マルチホスト(アライアンス)型WPIの最初の拠点なのです。それぞれ得意な領域を持つ2つの機関が連携・協力して、世界最高の研究拠点の創成を目指すことになります。

 令和5(2023)年度のWPI拠点募集は、段階的に拠点形成を行う「WPI CORE」(伴走成長方式)と、複数ホスト機関のアライアンスによる「WPI Multiple HOST」という2つのカテゴリで行われました。2つのカテゴリ合計で19件の応募がありましたが、マルチホスト型のAIMECの1件のみが採択されたものです。

 AIMECの日本語名称は「変動海洋エコシステム高等研究所」で、英語名称は「Advanced Institute for Marine Ecosystem Change」ですので、略称は頭文字を連ねてAIMEC(エイメックと発音)となります。

 さて、AIMECは何を目指す研究拠点なのでしょうか。拠点が準備しているリーフレットの表現を利用して説明します(末尾にURLを記します)。まず、拠点のミッション(使命)は、「地球システム変動に対する海洋生態系の応答・適応メカニズムの解明と予測」を行うことです。より具体的に次のように説明しています。

 「本拠点では、海洋物理学、生態学、数理・情報科学を融合した学際的アプローチにより、海洋生態系の 応答・適応メカニズムを解き明かし、高度な海洋生態系変動予測の実現を目指します。それにより、新しい学術領域『海洋・生態系変動システマティクス』を確立し、海洋及び生態系の再生と回復に向けた『惑星スチュワードシップ』に貢献します。」

 ここで、「システマティクス」(systematics)は「体系的な学問」の意味です。また、「惑星スチュワードシップ」(planetary stewardship)の惑星は地球のことで、スチュワードシップとは責任をもって保全や管理をすることです。AIMECはもう少し詳しく、「地球の持続可能な管理と保護のための責任ある行動規範・原則」と説明しています。

 現在地球は、自然変動に加え人為的な地球温暖化が進行しつつあります。海洋環境も急激に変わりつつあります。これに生態系はどのように応答し、そして適応していくのでしょうか。翻って、生態系の変動と変化が、どのように地球や海洋の環境形成に影響を及ぼすのでしょうか。この解明がAIMECの研究目標です。

【参考URL】
1.WPI-AIMEC拠点の概要(文部科学省のウェブサイト)
https://www.mext.go.jp/content/20231012-mxt_kiso-000032100_6.pdf

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