コラム

海の杜(No.21、2026年2月1日)

AIMECグランドチャレンジ-その7 GC-4

 今回はAIMEC-GCsのGC-4「沿岸海洋生態系の複雑性と人間活動の影響の理解」を取り上げます。これまでと同様、ウェブサイト記事(参考URL-1)と、「EarthArXiv」掲載論文(参考URL-2)を基に紹介します。まず、GC-4の概略です(参考URL-1)

 「沿岸地域における人間社会と生態系の相互作用と海洋学的プロセスの連関は、世界でも最も複雑なシステムの一つです。WPI-AIMECでは、女川湾と陸奥湾をモデル地域として、沿岸から外洋に至る生態系の構造と機能の移行パターンを明らかにし、複数の人為的ストレス要因が沿岸生態系に与える累積的影響を定量化します。さらに、台風や豪雨など沿岸域で発生する極端気象に伴う陸海相互作用や、人間活動によって生じるマイクロプラスチックなどの物質の拡散・分解過程、それらに対する生態系の応答性・適応性の解明にも挑みます。これらの知見は、沿岸資源の管理や保護の改善に役立ちます。」

 海洋生態系には、豪雨や台風、海洋熱波、津波などの自然現象による攪乱(disturbance)とともに、陸起源物質の流入や養殖など人間活動による攪乱が加えられています。これらの攪乱は生態系にとって「ストレス(stress)」です。生産・社会活動の多くは海に面した地域で行われていますので、沿岸生態系には外洋より大きなストレスがかかっています。海洋生態系はこれらのストレスにどう反応し、どう適応しているのでしょうか。

 東北大学は青森県青森市に生命科学研究科附属浅虫海洋生物学教育研究センター(参考URL-3)を、宮城県女川町に農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター(参考URL-4)を有しており、両施設にはAIMECメンバーが活動しています。また、青森県むつ市にはJAMSTECむつ研究所が、岩手県大槌町には東京大学大気海洋研究所大槌沿岸センターがあります。AIMECはこれらの施設に所属する研究者とも連携し、複雑で多様な沿岸環境下でGC-4の課題を追求していくことになります。

 このGC-4の目標を達成するため、より具体的な4つの特定課題(Specific challenges)、8つの主要問題(Key questions)、5つの取組方法(Approaches)が設定されました。ここで4つの特定課題とは、(1)沿岸から外洋への生態系の移行の解明、(2)生態系に及ぼす人為的影響の定量化、(3)人為的ストレスを最小化する手法の探索、(4)脱炭素化に資する沿岸生態系の利用方策の探究の4点です。

 上記GC-4の概略の最後の文章にあるように、本GCが達成されますと科学的知見に基づいた沿岸資源の管理や保護の施策改善を行うことが可能となります。温暖化で変貌しつつある海洋の環境と生態系を中・長期的視野で議論するには避けて通れないGCです。

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