コラム

海の杜(No.20、2026年1月1日)

AIMECグランドチャレンジ-その6 GC-3

 今回はAIMEC-GCsのGC-3「表層とトワイライトゾーンの生態系相互作用と生物地球化学的循環への影響」を取り上げます。これまでと同様、AIMEC-GCsに関するウェブサイト記事(参考URL-1)と、「EarthArXiv」掲載論文(参考URL-2)を基に紹介します。まず、GC-3の概略です(参考URL-1)

 「気候変動が大型海洋生態系に与える将来の影響には、依然として大きな不確実性があります。特に、表層から200〜1000メートルの深さにある『トワイライトゾーン』と表層の生態系の関係性は、栄養源や炭素の移動にとって重要であるにも関わらず、その科学的な理解は限られています。WPI-AIMECは、『生物ポンプ』と『海洋循環』の相互作用を解明し、その予測に挑みます。生物地球化学(BGC) Argoフロートを含む多様な観測プラットフォームの季節変動の解析や、海洋粒子の超高分解能分析などにより、植物プランクトンや動物プランクトンが上位捕食者(魚類など)との間で物質やエネルギーをどのように仲介しているかを明らかにします。これらの知見は、世界の漁業、炭素貯留、気候調節に大きな影響を与える可能性があります。」

 「トワイライトゾーン(twilight zone:薄明層)」とは、光がごく僅かしか届かず、生物が光合成を起こすことができない中層を指します。この領域の研究はまだ十分でないため、AIMECの重要な研究対象です。また、「生物ポンプ(biological pump)」とは、光合成で二酸化炭素を固定した植物や植物プランクトンが死んで海底に沈降することで、表層から深層へと速やかに二酸化炭素が移動する過程を表現した用語です。

 さて、表題の「生物地球化学的循環(biogeochemical cycle)」です。「物質循環(material cycle)」とも言い換えられます。水の循環を例に説明します。海洋の水は移動しながら蒸発して大気に含まれ、大気中を移動しつつ海や陸に雨となって降り注ぎます。陸に降った水の一部は再び蒸発し、残りは集まり川となって海へ戻ります。この一連の過程を「(地球)水循環」と呼びます。水と同じように地球表層のすべての物質は移動します。この移動が「物質循環」で、海水に溶けて移動したり、生物に取り込まれて移動したりと、水循環よりもはるかに複雑な経路で循環をしているのです。

 紙幅の都合で詳細は省略しますが、このGC-3の目標を達成するため、より具体的な5つの特定課題(Specific challenges)、4つの主要問題(Key questions)、6つの取組方法(Approaches)が設定されています(参考URL-2)

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