海の杜(No.1、2024年6月1日)
WPIは「World Premier International Research Center Initiative」の頭文字を連ねたもので、直訳すれば「世界最高国際研究センター構想」となりますが、日本語では「世界トップレベル研究拠点プログラム」と呼んでいます。2007(平成19)年度から始まった文部科学省の事業で、運営は日本学術振興会(以下、学振)が行っています。
これまで18の研究拠点が採択されており、私たちのWPI-AIMECは、2023(令和5)年度に1件のみ採択された、もっとも新しい研究拠点となります。
今回のコラムでは、このWPI事業が何を目指しているのか、何を目標としているのかを、学振のウェブサイトの記載から紹介します。学振のウェブサイトのホームページを訪問すると、「事業のご案内」のバナーがあります。ここをクリックすると、いくつかのカテゴリが列挙されていますが、その中に「大学の教育研究機能の向上」があります。これをクリックすると、左側にこのプログラムWPIの項目が挙げられています(末尾にURLを記します)。
WPIの事業は次のように表現されています。「(大学や研究機関の)システム改革の導入等の自主的な取り組みを促す支援により、第一線の研究者が世界から多数集まってくるような、優れた研究環境ときわめて高い研究水準を誇る、『世界から目に見える研究拠点』の形成を目指している。」
その下に「プログラムの概要」の項目があり、4つのミッションが示されています。① 世界最高レベルの研究水準、② 融合(研究)領域の創出、③ 国際的な研究環境の実現、④ 研究組織の改革。この4つのミッションを果たすことで、ブレインサーキュレーション(研究者の循環のこと)の中にしっかりと位置付けられる『目に見える研究拠点』の形成を目指し、さらには、日本の研究機関のモデルになるとともに、科学技術に革新をもたらすことも期待されている、としています。これら4つのミッションはその後、3つに再定義され、取り組みの方向性や評価の観点も明示されていますが、これについては、次回紹介することとします。
以上、まとめますと、WPI事業とは、「旧来の研究組織や運営に縛られない組織と運営を行い、世界的な研究者が集い、世界最高水準の研究を行う、世界に冠たる研究拠点を創るとともに、科学技術に格段の進展をもたらすことを目指した構想」である、ということになるのではないでしょうか。
【参考URL】
1.日本学術振興会のWPI事業の紹介:https://www.jsps.go.jp/j-toplevel/