コラム

海の杜(No.17、2025年10月1日)

AIMECグランドチャレンジ-その3 全体像について

 今回以降数回にわたり、AIMECのグランドチャレンジ(GCs)について紹介します。

AIMECがGCsを確定したことは、AIMECウェブサイト日本語版のニュース欄で公表しました(参考URL-1)。この記事では、GCsを日本語要約版として紹介しています。AIMECが制定したGCsの原文は英語によるもので、地球科学分野のオープンアクセスプレプリントサーバーである「EarthArXiv(アースアーカイブ)」で掲載していますのでご覧になってください(参考URL-2)

AIMEC-GCsは以下の5つから構成されています。

  • GC-1 海洋生態系の物理化学的要因に対する適応性と脆弱性の解明
  • GC-2 気候-海洋-生態系の連動性と時空間変動の解明
  • GC-3 表層とトワイライトゾーンの生態系相互作用と生物地球化学的循環への影響
  • GC-4 沿岸海洋生態系の複雑性と人間活動の影響の理解
  • GC-5 海洋生態系の変化予測による惑星スチュワードシップの促進

ここに掲げた1~4のGCsは、いずれも一つの学術分野の研究では解決のつかない課題となっており、複数の学術分野の研究者らによる融合研究を経て初めて達成されるものです。その意味で、挑戦的な大きな研究課題であると言えます。また、1~4のGCsそのものも、その課題解決は社会的・経済的に大きなインパクトを持つものですが、さらにGC-5を設けて、人類が永続的に存続するために必要な「惑星スチュワードシップ」、すなわち、「地球の持続可能な管理と保護のための責任ある行動規範・原則」を提案することを目指しています。次回以降、それぞれのGCの中身について紹介します。

ところでGCsの公表と時期を合わせ、イギリスの科学雑誌「Nature」にもAIMECの活動がGCsとともに紹介されました(参考URL-3)。この記事の題名は「A quest to tackle the complexity of the ocean(海洋の複雑性への挑戦)」と題するもので、続けて、「An ambitious research programme in northwestern pacific is striving to understand the many facets of the ocean — and the ways they are responding to human impacts — like never before(北西太平洋における野心的な研究プログラムは、これまでにないほど海洋の多様な側面と、それらが人間による影響にどのように反応しているかを理解することを目指している)」と記されています。この記事は主要研究者へのインタビューをまとめたもので、この記事もぜひご覧になってください。

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