海の杜(No.24、2026年5月1日)
地表面付近の気温が全球的に高くなっていく現象が地球温暖化(global warming:以下、温暖化と記載)です。その要因は、大気中の二酸化炭素(CO2)に代表される温室効果ガス(greenhouse gas:GHG)の増加です。この増加は、人類がエネルギーを得るため、大量の石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料を大量に燃焼させた結果として起こっています。実際、CO2濃度は産業革命以前の約280ppm(parts per million:百万分率)から毎年増加し続け、2024年には424ppmになりました(参考URL-1)。
国連の一組織である「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change:IPCC)」は、1988年の創立以来、温暖化の現状とその要因について評価を行ってきました。そして2021年に公表したIPCC第1作業部会第6次評価報告書において、現在の気温上昇はGHGの増加という人為的な要因によるものであると断言したのです(参考URL-2)。
さて、GHGとは赤外線によって分子運動が励起される気体のことで、19世紀中には水蒸気やCO2などがあることは知られていました。大気中にGHGが存在すると、地表面が放射する赤外線を吸収します。大気が吸収した赤外線は再び上・下方に放射されて地表面を加熱します。すなわち、大気と地表面の間に赤外線のループができるのです。この結果、GHGが無い時と比べ地表面がより温まります。これが温室効果です。大気中のGHGが増加すると、赤外線のループがいっそう強まり、地表面は温暖化することになります。
スウェーデンのスヴァンテ・アレニウス(Svante A. Arrhenius, 1859-1927:1903年にノーベル化学賞を受賞)は、1896年の論文で、石炭が大量に消費されて大気中のCO2が増加すると、温暖化が起こることを初めて指摘しました(参考文献-1)。なお、アレニウス自身はスェーデンにとって温暖化は望ましいこと、と判断していたようです。
米国の科学史家スペンサー・ワートは、温暖化は3回発見されたと指摘します(参考文献-2)。すなわち、アレニウスが1896年に温暖化を理論的に発見し、1950年代に米国スクリプス海洋研究所の研究者たちがCO2は年々増加していることを発見し、そしてIPCCが2000年代に入り、丹念な評価から温暖化が気象にも影響していることを発見した、というものです。
温暖化と海洋の関係ですが、単なる海水温の昇温にとどまらず、海洋生態系にも大きな影響がでます。AIMECの中心課題は、まさに温暖化に対する海洋生態系の応答を解明し、将来の姿を描くことにあるのです。
【参考文献】
1.Arrhenius, S., 1896: On the Influence of Carbonic Acid in the Air upon the Temperature of the Ground. Philosophical Magazine and Journal of Science, Series 5, 41, 237-276.
https://web.archive.org/web/20141006232634/http://www.globalwarmingart.com/images/1/18/Arrhenius.pdf
2.スペンサー・R・ワート著、増田 耕一・熊井 ひろ美訳、2005:温暖化の〈発見〉とは何か。 みすず書房、296ページ。
【参考URL】
1.IPCC-AR6-WG1報告書「政策決定者向け要約(SPM)」(気象庁のウェブサイト)
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar6/IPCC_AR6_WGI_SPM_JP.pdf
2.「大気中二酸化炭素濃度の経年変化」(気象庁のウェブサイト)
https://www.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/ghgp/co2_trend.html